賃貸住宅取得時の消費税還付にメス

 令和元年12月12日、自由民主党HPより令和2年度税制改正大綱が公表され、賃貸住宅取得時に消費税の還付を受けられるスキームに対する規制の内容が明らかになりました。

(1)改正の概要

①居住用賃貸建物については、消費税の計算上、仕入れ税額控除を認めない。ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らか部分については引き続き仕入れ税額控除の対象となる。

②上記①により仕入れ税額控除が認められないこととなった居住用賃貸建物について、その取得の日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡をした場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け及び譲渡の対価の額を基礎として計算した額を当該課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入れ税額控除に加算して調整する。

③住宅の貸付けに係る契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする。

④高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、高額特定資産である棚卸資産が納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整措置の適用を受けた場合を加える。

(2)適用時期

上記(1)①の改正については令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の取得を行った場合について適用されます。ただし、同年3月31日までに締結した契約に基づき同年10月1日以後に居住用賃貸建物の取得を行った場合には適用されません。

上記(1)②の改正については、同年4月1日以後に行われる貸付けについて適用されます。

上記(1)③の改正については、同年4月1日以後に棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合について適用されます。

(3)改正の影響

 改正後は賃貸アパート・マンションの建築・購入時において消費税の還付は受けられなくなりますが、令和2年3月31日までの契約であれば改正の対象外となることから、駆け込み需要が起こる可能性が考えられます。