令和元年度版「土地白書」が公表されました。

(1)土地白書とは

 令和元年6月21日、令和元年度版の土地白書が閣議決定されました。土地白書は、土地基本法に基づき、土地に関する動向や、政府が土地に関して講じた基本的な施策、土地に関して講じようとする基本的な施策について、毎年国会に報告されているものです。

(出典:国土交通省HPより)

(2)土地に関する動向

 土地白書によると、地価は全国的に上昇基調を強めており、取引件数もいずれの圏域で横ばいを維持していますが、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という質問に対し、「そう思う」と回答する方の割合が減少し、「そうは思わない」回答の割合が増加しています。

(3)不動産の保有について

 資産家の方の中でも不動産オーナーの場合、「代々承継してきた土地は売却する意志もないので、土地の価値が上がるのは固定資産税が上がって辛いだけ」とお聞きすることがあります。 土地の固定資産税評価額は3年に一度見直しがされ、地価の上昇に応じて税負担も重くなる可能性がありますが、土地に関しては固定資産税を納めるだけでなく、相続税の納税資金も貯めなければなりません。平成27年1月1日以後開始した相続から相続税は増税となりましたが、今後ますます相続税の節税対策及び納税資金対策は必要になってくるものと考えられます。

 基本的には、その土地で充分な収益を生む努力、ランニングコストとしての所得税の節税(場合によっては法人化の検討)、蓄積する現金収入については生前贈与等での移転、上物が経年劣化してくると空室や回収のリスクに備え、修繕や建替えの検討も必要となり、その際には多額の融資を受ける必要性が生じます。

 資産家の方の努力は、土地白書に記載の国民の意識にあるとおり、外見の華やかさ以上に大変なものがある様に感じます。